REPORTS
2023 SPRING REPORT
ごあいさつ
第10回『「5」のつく日。JCBで復興支援』のご寄付による「震災復興県の高校生・こころの支援プログラム」を、4年ぶりとなる2023年の春休み、岩手・宮城の高校生7名の参加で開催しました。
この復興支援事業は2020年の夏、主催NPO団体の事業・活動拠点であるアメリカ合衆国ハワイ州にて、教育合宿プログラム「ザ・チェンジ・アカデミー2020」として開催予定でしたが、世界の人々を脅かした新型コロナ感染拡大による様々な影響で、ハワイでの主催運営及び実施開催が難しいとの判断により、新たに開催場所と企画内容を再考し、日本国内での開催となりました。
国内初の開催地は、2000 年の大噴火により全島民一斉避難を経験し、東京都における唯一の被災地であり、親和性の高い三宅島に決定しました。実施においては、この三宅島で教育事業を展開する一般社団法人アットアイランドさんのご協力で、 「地域交流」や「島の伝統文化体験」、「自然災害の歴史」、「自然探求」、「環境学習」などの「体験合宿プログラム」を実施することが出来ました。
火山とともに力強く生きる島住民の方々が、再生と変化を繰り返し、自然の息吹と土地が持つ生命力を実感できる地で、参加学生達は初めての仲間と寝食を共にする共同生活体験において、学校や日常生活、地元から離れ、自らのバックグラウンドやアイデンティティを見つめ直す機会を持つことが出来たと思います。そしてこの体験により、視野が広がり、夢や希望、未来に向かう第一歩を踏み出すきっかけを掴み、新たなフェーズへ向かって行ってくれているのではないかと思っております。
今回の当団体支援事業に際し、『「5」のつく日。JCBで復興支援』によるご支援、現地でのプログラム支援のご協力を頂きました三宅島の皆様のお力添え、誠にありがとうございました。
おかげさまで「震災復興県の高校生・心の支援、東北レインボープロジェクトin三宅島教育合宿」を無事、終了することができました。心から厚く御礼を申し上げます。
東北 - 三宅島レインボープロジェクト 5泊6日教育合宿プログラム活動教育スケジュール
2023年3月29日 ~ 4月3日
東北 - 三宅島レインボープロジェクト
5泊6日教育合宿プログラム活動教育スケジュール
2023年3月29日 ~ 4月3日
Day:1
岩手・宮城(新幹線移動)~東京出航~(東海汽船橘丸:フェリー1泊)~三宅島着~宿泊先「島家」到着
Day:2
オリエンテーション~自己紹介~火山体験遊歩散策①~昼食~「火山避難と地域復興」の講話①~ネイチャーツアージオスポット巡り(阿古地区)①~夕食~映画 『ロックわんこの島』の鑑賞~就寝
Day:3
地元の高校生と合流~ネイチャーツアーオスポット巡り②(海岸部エリア)~昼食~農業体験・収穫体験~夕食~『牛頭天王祭』ドキュメント映画鑑賞~就寝
Day:4
火山体験遊歩散策②~坪田地区沖原海岸ジオスポット巡り~ボルダリング体験~「火山避難と地域復興」の講話②~夕食「伝統の島寿司づくり」~焚き火場・学生ファシリテータによるプログラム振り返り
Day:5
宿泊先「島家」チェックアウト~ワークショップ「得意なこと」シート作成・発表~乗船手続き~三宅島出航~東京竹芝桟橋へ~東京着~後泊(東京都内ホテル泊)
Day:6
ホテルチェックアウト~自由時間~東京駅~(新幹線移動)~仙台・岩手~各自帰宅
参加者からのメッセージ
※プログラム参加前後の気持ちの変化や実体験をテーマにした感想メセージを頂きました。
▶「人間関係」 岩手県 高 1 年 男子
参加する前は、狭い大槌町という環境でずっとすごしており、関係性も固定化されている中で、日々ストレスを押し殺して時間を浪費していたけど、参加したことで、自分の人としての中身を見てもらえること、今まで交わることのな かった同世代と何気ない日々を過ごす中で、新しい人それぞれの興味関心に触れられました。
参加した後、今回の経験を振り返って、新しい環境にどんどん飛び込んでいきたい!と強く思うようになりました。最初は「誰とも仲良くならないんじゃないか」「皆と上辺だけの関係になるのでは」「当たり障りのない会話だけになるのかな」こう思っていました。地元では長い人だと生まれてから、他の皆も小学生からずっと同じメンバーで人間関係は狭い環境で固定化されています。この中では次第に、人の内側や本心はほとんど見られなくて、その人のイメージだけの物差しで判断されているような気がします。しかし、それと同時にそれが楽に感じている自分もいました。「深く考えなくても簡単に事が進む」。これに甘えていたからこそ、大槌から同級生が来てれば良かったなと"最初は"思っていたんだと思います。
前述したようなどちらかと言えば、殻に閉じこもっている考えを持っていましたが、参加していく中で、長い移動を共にしたこと、何度も机を囲んで食事をとったこと、次第に家族のように感じて行ったこと、一つ屋根の下で生活を送ったこと、腹を割って話ができたこと、一番嬉しかったのは人としての内面をお互いに見合って人間関係が一から作られて行ったこと、数え切れない程楽しくて今までに無かった経験をしたことで最初に思っていた内弁慶的考えは見る影もなく、返って「大槌から来たのが自分一人で良かった」と強く思っていました。
人としての内側を見てもらえることの嬉しさ。今まで薄々感じてはいたが、認識をしていなかった気持ちを認識できたことが今回参加して一番良かったこだと思います。
僕はこのプロジェクトで「友情」と「絆」と「思い出」、「観る目」を上達できたと思います。なぜなら、移動も合わせこの六日間、ちょっと前までは全くの他人だった人とタメで話せて。お互いの事を知り、時に打ち解けあって協力し合い、一人一人の個性を見つける事が出来たからです。このプロジェクトの前までは、友達にしろ緊張して余り声を掛けられなかったり、声を掛けられるのもちょっと怖かったり、ビビりまくりな生活を送っていました。ですが、全くの他人から、関係を持たないとイケナイと言う立場に立たされたからこそ「友情」について考える事が出来たのかなと思います。 このプロジェクトは、「人の本質、優しさを知る旅」だったのかなとも思ったりもしました。
このプロジェクトは一言じゃ表せないくらい充実してて、心から楽しむことが出来ました。また来たい、次はアレしたい!もっとこうすれば楽しいかも!とミルミル妄想が膨らみそうです。そう思えたのも、「友情」とそれを取り巻く優しさの数々、そして企画してくれた方々と進行してくれた方々のおかげだなと思います。
今回のプログラムは 5 泊 6 日という少し長い期間同じメンバーで過ごして、自分は非日常なのにどんどん日常に近づいていくことにとても面白さを感じました。三宅島では合宿先の「島家」でみんなで料理をしたり、何気ない会話をした普段の日常のようなことが一番楽しかったです。一方で、三宅島の景観や噴火を経験した方の話を聞いたりなど直接五感で新しく感じられてとても考えさせられたこともありました。でもそんな新しい発見や知識をこれからもインプットし続けたいと思いました。
短い間でしたが「新しい日常感」を感じられて新鮮でしたし、他人の事をよく観察したりどんな行動をすればいいのかを、いつも以上に考えることができて良い時間を過ごせたと思います。参加をしたことで、ふるさとという存在の大切さ、仲間と協力して何かを作り上げていくことの面白さを感じた。本当にありがとうございました。
被災地で「語り部」をやっているため、噴火の災害と地震・津波の災害で同じ被災地であるということにも興味がありました。参加をする前は三宅島のことも、噴火のことも何も知らなかったのですが、ガイドのいと~まんに案内してもらい、島の皆さんからお話を聞き、「語り部」として活かせることや伝えていかなければならないことがたくさんあるとわかりました。噴火は怖いだけじゃない、人や地域を潤してくれることもあると知ったことで新たな価値観を築くこができました。
また、参加をする前は何事も人に頼ることはカッコ悪い、絶対に自分 1 人で乗り切ってやる!という考えの持ち主でした。そのため、何をやるにしろ 1 人でこなし、限界が訪れ、自爆することも多々ありました。でも旅の途中で学んだことは誰かに『頼る』こと。自分ができないならできる人に頼めばいい、無理してやらなくてもいいと初めて実感しました。
帰ってきた次の日のことです。私の前で歩行補助の手押し車を使っているおばあちゃんがバスを降りようとした時、上手く降りれなくて転びそうになってしまいました。咄嗟に『手伝いますよ』(この言葉が適切だったかは今でも分かりませんが)と私は言えてました。三宅島の人に出会ってから人に頼ることでやってもらえて嬉しくなる、ありがたいという気持ちが湧くと身をもって体験したからこそ、咄嗟の行動ができたのだと思います。今までは見てみぬふりをしていた私が、全く知らない人に手を差し伸べることができた。これは私にとって大きな進歩であり、成長できたと感じる部分でもあります。三宅島にいればスタートラインは皆同じ、アドバンテージや先入観のない場で過ごすことが本当に楽しかったです。
日々やらなくてはならない勉強や部活、立場、周りの環境など、全てを忘れることができ、自分らしい伸び伸びとした生活を送ることができました!私にとって大きな分岐点になったことは間違い無いでしょう。様々な人と出会い、自然に触れ、体験してみる。このプロセスがどれだけ大切かよくよくわかりました。改めて、人生の中で一番になるくらいすっごく楽しかったです!ありがとうございました!!
今までは他の人と話す事に苦手意識を持っていましたが、この6日間を通して話すのが少し上手くなりました。そして仲間たちの将来の夢などを聞いて、今まで以上に自分も頑張らないといけないなと感じさせられました。三宅島の事についてはほぼ全くと言っていいほど知らない状態での出発でしたが、いざ島に到着し、ネイチャーツアーなどを受けてみると、三宅島がいかに凄い場所なのかが分かってきました。今までは噴火というものが僕の生活とほぼ関わっていなかったため分かりませんでしたが、三宅島の人々がこんなにも噴火と密接に生活していると知ることができました。特に溶岩に潰されてしまった学校や泥流に埋まってしまった鳥居が、つい最近起きた噴火を物語っていて衝撃でした。
僕は自然を守る仕事をしたいと思っているので、今回の学びを活かし、防災などの観点からも頑張っていきたいと思いました。
▶「私たちの生活を奪う災害と私たちの未来について考える」 宮城県 高 2 女子
私は東日本大震災の被災地である宮城県に住んでいますが、父の実家が被災したといっても、私自身はそこまで被災していなくて、実際に辛い経験をした同年代の人たちと深く関わり、話を聞くのはほぼ初めてでした。そして地震や津波だけではなく、火山の噴火という自分に身近ではなかった災害について詳しく話を聞いたのも初めてでした。
同時にその2 つの災害について考えたことで、災害というのは、そこに住んでいる土地の象徴であるもの(山や海)が私たちの生活を彩るものであり、脅かすものでもあるから身近なのだと改めて強く感じました。でも、その土地が好きだから、生まれた場所だから離れたくない。だから災害と隣り合わせで生きていかなければいけない。では、少しでも自分たちの故郷の被害を少なくするために、住んでいる私たちの被害を少なくするために、どうすればいいのか考えることが必要だと思いました。
東日本大震災が起きて 10 年以上たった東北では学生の語り部などが、次世代や他の地域の人たちに地震や津波の危険を伝えています。その活動絶対に途絶えてほしくないと思いました。
▶「やりたいをやる」 宮城県 高 2 女子
今回の 5 泊 6 日の体験の中で、普段、自分が表に出していなかった感情や行動が出来たことがこのテーマの大きな理由。ずっと昔から自分の胸の奥にあったやりたいこと、それを話す機会がとても多く、前よりさらに掘り下げ、自分は何をしたいのかを考えられた。
三宅島での生活では、いとーまんにガイドされながら、生い茂った道の先の神社や山の木々にぐるっと囲まれた鳥の集まる湖、黒い石でできた浜など、三宅島の「ここいいとこだぜスポット」をほぼ毎日巡った。その中で写真を撮りまくったり、トンボを捕まえようと茂みに入ったり、寝っ転がってみたり、ただ歩いてみたり、遠吠えをしてみたり…私が見た限りでは、各々がその場その時自分のやりたいと思ったことをできていたと思う。
「島屋」での夜、その日 1 日の解散後に他の人と話したり、トランプをしたり、充実した夜更かしもできた。やりたいをやることで得られたのは楽しさだけでは無かった。皆がそれぞれ、自分で深く考えていることについて聞く機会が生活の中で所々あり、私が考えたことの無かったこと、持ったことの無かった視点を知ることが出来た。その中で島の人に噴火の話を聞きに行った時、東北の震災についての話が出てきて、旅のメンバーの何人かが当時の話をしてくれた。その話を聞く中で、同じ高校生が心の奥で深く傷ついている部分も見えて、私は内心ビックリしていた。友達など、身近な人から震災のときの話を聞いていたことはあったけども、ここまで上手く感じられていなかった。今回は何故か等身大で感じられたような気がした。
やりたいことをやる自分を皆が受け入れてくれて、本当に嬉しかった。そして、やりたいことをやっている皆がとても好きだった。ありがとう。
*個人情報保護のため、性別と学年のみ記載とさせていただいております
参加学生支援団体
認定NPO法人底上げ
NPO法人みやっこベース
認定特定非営利活動法人カタリバコラボ・スクール大槌臨学舎
協力団体
一般社団法人アットアイランド
三宅島ゲストハウス島家
有限会社沖倉商店 / CAFE 691
ホテル海楽
みやけじまファーム
ギャラリーカフェCanon
三宅島観光協会
三宅村レクリエーションセンター
株式会社ワールドトラベル仙台
特定非営利活動法人エコロジーオンライン
有限会社キュービック
寄付支援企業・支援団体
「5」のつく日。JCBで復興支援
公益社団法人日本フィランソロピー協会